アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

アデュカヌマブの認可に赤信号

アルツハイマー認知症の新薬候補であるアデュカヌマブについて新たな動向が報道された。11月6日にアデュカヌマブの認可申請に対して、FDAの諮問委員会が否定的な勧告を出したということだ。この諮問委員会は外部の専門家からなるものらしく、アデュカヌマブ…

ヒト脳内におけるシナプス密度の減少とタウ蓄積の関連性

以前(今年2月11日)のブログで、脳内のシナプスを可視化できるPETのトレーサーについて、簡単な記事を書いたことがある。最近、このトレーサーを使った興味深い研究が報告されていた。この研究はベルギーのVan Laere博士らによって行われたもので、Neurolo…

タウ抗体療法の新情報

アルツハイマー病の脳に異常なタウたんぱく質が溜まることはよく知られている。特に最近、そのような異常なタウが、神経細胞間を伝播して、広がることが分かってきた。そのため、タウに対する抗体療法が開発され、臨床治験が行われている。このような治験と…

新型コロナの高波が迫っている状況を打開できるのか 

ついに東京で、新型コロナ感染者数が300人の大台に乗ってしまった。予想はしていたが、いざそうなってみると、大ごとだと実感する。全国的にも、大都市で急増しているので、東京だけの問題ではなくなったといえる。 私は、先日のニュースで、東大名誉教授…

責任感が感じられない東京都の姿勢

東京都の新型コロナ感染者数が急増してきている。感染経路不明者が増えているのに、夜の街関連のことを強調してばかりいて、全体像を見ない姿勢をとってきていた。ここにきてあたふたしても遅いのではなかろうか。 感染源を放置するような態度をとってきたつ…

東京のコロナ感染源の抑止には自治体の姿勢が重要ではないか

東京の新型コロナ感染者がかなり出ていることが問題になっている。多くは20代、30代の人が占めていて、感染経路不明の割合は50%程度ということだ。関西圏では、収まっているのに、東京だけがそういう状況なのはどうしてなのか。東京の特殊性というこ…

新型コロナの第3波を防ぐことは可能であろうか?

東京も含めて、全国的に感染者数は減少してきている。自粛の効果が現れてきているといえて、明るい材料だと思う。しかし、病院の院内感染はかなり起きており、高齢者施設や介護施設などでも施設内感染の問題が発生している。このような問題は、完全に防ぐの…

接触を減らすための工夫が必要では?

日本の感染者数が1万人を超えたということだ。連日、TVでは、様々な報道がなされている。だが、接触を大幅に削減するという目標は達成できていないようだ。 台湾の研究者が予想しているような、感染者が激増することになるかもしれない。 https://wedge.ism…

日本の規制の緩さに感じる危うさ 

このところ、新型コロナ問題について発信をしてきて、少しは社会の役になったのかもしれない。東京都では、区市別の感染者数が公表されるようになったのは評価される。 朝日新聞には、『「感染者1万人」豪州はどう回避? 日本が学べることは』というタイトル…

新型コロナ抑え込みに関するオーストラリアの対策

日本の国としての緊急事態宣言がやっと出された。あとは、どれだけ具体的な措置がとれるかというところが問題だと思う。 海外諸外国の中で、新型コロナ感染の抑え込みが比較的うまくいっている国を参考にしてみてはどうだろうか。私は、オーストラリアに注目…

医療危機を回避するために早い決断を

今日は全国で新型コロナ感染者が300人を超えたということだ。このままでは、欧米の二の舞になってしまうのではないかと、危惧される。東京都知事の方が、安倍総理より危機感をもっていると思う。今、危機意識を持たないと東京を含めて日本は大変なことに…

東京都は新型コロナ感染者の情報公開をすべきでは?   

東京都では、新型コロナ感染者が特定されても、個人情報保護などの理由で、具体的な情報が公表されていない。公表されるのは、年齢層と性別だけだ。 このやり方は、人々の警戒感、緊張感をゆるめているのではないだろうか? 東京では「夜の街クラスター」が…

新型コロナ感染の事態悪化は避けられる?

東京都知事が3週間程度のイベント自粛などを呼びかけた。今後の感染拡大が危惧されているからだ。専門家である北大の西浦博先生は、保健医療関係者に対して、イベント自粛とハイリスク空間を避けるよう一般の人々に呼びかけてほしいと訴えている。 https://h…

欧米の新型コロナ拡大は他人事ではないのでは?

イタリアをはじめとする欧州各国では、新型コロナウイルス感染が猛威をふるっている。特に、イタリアの状況は過酷なようで、死者数は中国を上回ったということだ。米国でも同様に深刻な状況にあるようだ。市中感染が見えないところで広がると、手が付けられ…

新型コロナウイルスの防衛策

デイサービスやデイケア施設における新型コロナウイルス感染が問題になっており、身近で切実な問題だ。その防衛策について考えてみた。

アミロイドβの蓄積とタウの広がりの関係

アルツハイマー型認知症におけるアミロイドβの蓄積量と異常化したタウタンパク質の広がりには、有意な関連があるということが、次第にわかってきている。最近のアルツフォーラムの記事にも、そのことが取り上げられていた。それによると、アミロイドPETとタ…

考察ーリコード法 その3

ブレデセン博士のリコード法論文3報をよくみて、考えたことを書いてみている。 MCIの症例が改善するということは、十分想定できることだと思う。MCI例の例数、年齢、男女比についてまとめてみると、はじめの2報で10例、3報目で35例、計45例である。65才以…

考察ーリコード法 その2

前回、リコード法の全体像について、おおまかに考察してみた。この療法の批判の一つとして、例数が少ないということがあったようだが、2018年の論文では、相当数の症例が提示されている。ただ、臨床試験という形で、効果を検証していないのが問題だという批…

考察ーリコード法 その1

アメリカのブレデセン博士(B博士)が開発したリコード法で、アルツハイマー型認知症の人の症状が改善したということが、最近注目されている。16日のNHKの特集番組でも現地取材をもとに、そのような治療法とその改善例についてかなりくわしく放映して…

アルツハイマーの人の脳内シナプスを可視化

アルツフォーラムというサイトで、PETで人の脳内のシナプスを可視化できたという記事がのっている。このリガンドは、UCB-Jという名前のもので、前シナプス小胞のタンパク質SV2Aに結合性があるという。アルツハイマーによるMCIとアルツハイマー認知症の人では…

メマンチンとアミロイドβ     

アルツハイマー型認知症の患者さんに、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンといったアセチルコリンエステラーゼ阻害薬1種類を使っていて、認知機能に低下傾向がでてきたときの対策として、メマンチン(メマリー)を併用するのは常套手段といえる。この…

おすすめのサプリメントは?

MCIあるいは正常の人が予防的にのむサプリメントとして何がおすすめだろうか?これはとても難しい問題だと思う。論文などで、しっかりした裏付けがあるものがやはりよいだろうと思われる。私の知る範囲での話になってしまうのだが、「メモリン」はMCIの人に…

新しいブログについて

このブログとは別に、「認知症予防の知っトク話」というブログを書きはじめました。https://yobounoizumi.hatenadiary.com/ こちらには、一般の方にむけて、認知症予防の大切さやそれにまつわるいろいろな情報を少しずつ書いていきます。一般の本には書かれ…

アデュカヌマブの新展開  

アデュカヌマブの動向は気になるところだが、ニューロセントラルというサイトによると、オープンラベルのフェーズ3B試験が米国で4月からはじまるということだ。この治験には、中止された治験に参加していた人だけが参加できて、高用量の投与を4週ごとに…

瞑想と認知機能

最近、私はある動機から、お寺の座禅会に参加してみた。1回30分程度座り、少し堂内を歩き、また座ることを3回した。静かに座っていることだけでもたいへんであるということがわかった。私の場合はいろいろなことが頭に浮かぶにまかせていた。しかし、瞑想…