アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

カロテノイドは認知症リスクを下げる

 βカロテンやルテインなどのカロテノイド摂取がアルツハイマー認知症の患者さんでは少ないという報告がいくつかあります。私は、食事の中でも野菜が重要だということを強調したいと思います。特に、カロテノイドは抗酸化力が高いことから、アミロイドβオリゴマーの神経毒性を抑えることが期待できます。

今回、その関連について、姉妹ブログの方で、記事を書きました。カロテノイドの摂取と認知症予防 - 認知症予防の知っトク話 (hatenadiary.com)をお読みください。

カロテノイドの多いおすすめ野菜としては、ほうれん草、春菊、小松菜、カボチャ、パプリカ、ニンジン、トマトなどがあげられます。

 

f:id:ninchinosekai:20210511180631j:plain

 

停滞するワクチン接種:無策な国と自治体

新型コロナの第4波がきて今まで以上に医療が危機に瀕しているのに、ワクチン接種は全然進んでいない。東京では、ワクチン接種の予約のためのオンラインシステムはまともに運用できていないし、小規模医療機関の医療従事者は予約さえとれないという、ひどい有様になっている。私の所属している診療所でも、予約できた人はまだほとんどいないのである。

準備期間もあったはずなのに、自治体も政府も全く機能していない感じがする。もう少しアメリカやヨーロッパ各国を見習ったらどうなのであろうか?

変異株の影響で、行動自粛の効果にも限界がありそうな現状をみると、もはやワクチン接種を加速することしか打開策はなさそうである。番号ごとに受付時間や場所をかえるとか、予約者が集中しないで、分散するようなシステムを組めないのだろうか?

役所の体制は厚労省自治体も硬直化しているので、そこを変えることが先決なのかもしれないのだが。

 

f:id:ninchinosekai:20210503230632j:plain

 

アミロイドβオリゴマー神経毒性低減療法の実用化に向け、新会社を設立

認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の段階で、その病態進行を防ぐために、早期の治療介入が重要ということはわかってきたのだが、まだその方法として決定的なものはないのが現状です。特に、アルツハイマー病の前段階は、アルツハイマー病を背景とするMCI(MCI due to AD)と呼ばれています。私は、病態研究をしていく中で、「アミロイドβオリゴマー神経毒性低減療法」が有用になりうるという発想をもとに、研究を重ねてゆき、天然物質であるチロソールがアミロイドβオリゴマー毒性を低減すること、マウスモデルへの長期経口投与により、シナプス障害、酸化ストレスなどの病態進行を抑制できることを見出しました。この論文は2019年に出版されています。

この療法について、私は特許出願をして、国際予備審査でも特許性を肯定する評価を受けているので、何とか実用化をしたいと考え、今回、医薬品・健康食品開発を目的とした新会社を設立しました。名前は株式会社ユピアークといいます。少しでも会社の存在を多くの人に知っていただき、そして、アイデアに賛同してくださるような、パートナーが見つかり、新しい医薬品・健康食品の開発の実現につなげられればと考えています。興味のある方は、会社のホームページhttps://yupiark.comをご覧ください。

 

f:id:ninchinosekai:20210421235323j:plain

 

N末修飾アミロイドβに対する抗体ドナネマブによるアルツハイマー病の治験について

早期のアルツハイマー病に対する新たな抗体療法の治験結果が最近報告された。これは、イーライリリー社が開発しているドナネマブ(donanemab)という抗体の第2相試験についてで、その作用機序は独特なもので、これまでに報告されているものに比べて、アミロイドプラーク除去効果が高いという特徴があり、興味深い。

この抗体は、アミロイドβのN末端の第1,2残基の切断後、第3残基のグルタミン酸が、グルタミルシクラーゼによりピログルタミル化修飾を受けた特異なアミロイドβ(N3pG Aβ)を標的としている。このN3pG Aβは、凝集性が高く、ヒト脳内のアミロイドプラークに初期から広く溜まっていることがわかっている。それで、病因論的に重要な分子種であると考えられているものだ。

この治験では、272人の患者を2群にわけ、プラセボと実薬を月に1回、76週間投与して、その効果が検討された。その結果、主要評価項目であるiADRSという、認知機能と日常生活機能の複合評価尺度において、32%の抑制を示したという。興味深いことに、この抗体を投与された群で、PET検査におけるアミロイドプラークのレベルが、健常に近いレベルまで減少していた。すなわち、急速な脳内アミロイドβの除去により、臨床的な改善が起きた可能性が考えられている。
副作用としては、アミロイド関連画像異常ARIAがあり、27%にそのような所見がみられて、6%に症状があったという。

イーライリリー社によれば、より規模の大きい第2相試験が現在進行中とのことである。

はたしてこの抗体療法は、アルツハイマー病の根本療法として、有効性が認められることになるのだろうか。私の印象では、アデュカヌマブよりは、インパクトが強いものであり、期待が持てそうな気もするのだが、やはり大規模な第3相試験の結果を待つ必要があるのだろう。

f:id:ninchinosekai:20210127195544j:plain

 

欧米の二の舞にならないために

新型コロナの感染者が12月から急増して、特に首都圏が危険な状況になってきている。このままでは、欧米の二の舞になってしまうのではないか、そうなると緊急事態宣言再発動という事態も考えられる。春の時点で死者数が少なかったドイツでも死者数が驚くほど増えているということで、一度油断すると大変なことになるということは、欧米をみれば明らかなのだが、そのようなことを、まるで対岸の火事のような感覚でみていたら、自国の足元にも火がついていたというのが現状ではなかろうか。

コロナ対策を考える場合、やはり経済と行動自粛を両立することは無理だと 割り切って物事を進める必要があると思う。二兎を追う者は一兎をも得ず ということを再認識して、政府は Go Toキャンペーンの中断をしばらく続ける決断をするべきで、そうしないと大変なことになるだろうし、オリンピックも中止ということになりかねない。これまでのような後手後手の政策ではコロナ制御はできないということは明らかだ。

f:id:ninchinosekai:20210101184919j:plain