アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

考察ーリコード法 その2

前回、リコード法の全体像について、おおまかに考察してみた。この療法の批判の一つとして、例数が少ないということがあったようだが、2018年の論文では、相当数の症例が提示されている。ただ、臨床試験という形で、効果を検証していないのが問題だという批判は残っている。しかし、この療法について臨床試験を行うこと自体が難しいというのが現実なのだろう。

それにしても、MCI軽度認知障害が回復することは、十分予想できるのだが、軽症のアルツハイマー認知症の人でも改善して、その状態を維持できることがあるのはなぜなのだろうか。プログラムでは、運動を週4-5日以上きっちり行う。あとは、野菜を豊富に摂ること、複数のサプリメント、夕食と朝食の間をあけて絶食にするなど、栄養面、代謝面を転換することで、脳への良い影響がもたらされると推測される。このような療法で、アルツハイマー認知症を本当に克服できるかは、今後の課題なのだが、脳内に起きている異常には、可逆的な面があるということがいえるのかもしれない。前回、65才以下の割合がかなりあることを指摘したが、年齢が若い方が、可塑性も大きいので、奏功するのかもしれない。