アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

アミロイドβの蓄積とタウの広がりの関係

アルツハイマー認知症におけるアミロイドβの蓄積量と異常化したタウタンパク質の広がりには、有意な関連があるということが、次第にわかってきている。最近のアルツフォーラムの記事にも、そのことが取り上げられていた。それによると、アミロイドPETとタウPETの結果を総合すると、アミロイドの蓄積量がある閾値をこえてくると、タウが側頭葉内側部を越えて、嗅内皮質、側頭葉下部、頭頂葉外側部などに広がりを見せるということが判明したという。つまり、アルツハイマー認知症の過程において、アミロイドの蓄積が多くなることが、タウの異常な広がりを誘導するといえそうだ。

それから、タウの広がりの程度と認知機能低下には相関関係があることもわかってきている。だが、アミロイドの蓄積だけを治療標的にすればよいわけではないと私は思う。問題は、アミロイドの蓄積が、どのようなメカニズムでタウの広がりを誘導するのか、ということではないだろうか。認知症予防を考える場合には、アミロイドが溜まるのを遅らせることと、アミロイドが溜まりはじめていても、タウが広がらないようにすることが大事だと思う。