アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

瞑想と認知機能

最近、私はある動機から、お寺の座禅会に参加してみた。1回30分程度座り、少し堂内を歩き、また座ることを3回した。静かに座っていることだけでもたいへんであるということがわかった。私の場合はいろいろなことが頭に浮かぶにまかせていた。しかし、瞑想ということが、精神に良い影響をあたえるように感じたことは事実だ。一体座禅のような一般的な瞑想は認知機能に良い影響をあたえるのだろうか?ある英語の総説を調べてみると、瞑想などが認知機能に及ぼす影響について臨床研究が10以上あるということだ。たとえば、Kirtan Kriya瞑想というものをやると、認知症の介護者の認知機能の改善がみられたという報告があるらしい。いろいろな研究を総合すると、瞑想的な作業を一定期間行うと、認知全般、注意力、実行機能、処理能力、記憶などによい効果が現れるといえるようだ。ただし、これらは認知障害のない年輩の人を対象にした研究がほとんどということなので、その点には注意する必要がある。だが、何らかの認知症予防効果があるという可能性はありそうだ。日本では、この辺の研究はまだまだのようである。