アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

2024-01-01から1年間の記事一覧

ドナネマブの承認判断をFDAが延期した理由とは

今年3月のはじめに、イーライリリー社が開発中の、アルツハイマー病治療薬ドナネマブについて、米食品医薬品局(FDA)が承認可否の判断を延期し、外部の専門家からなる諮問委員会を開いて、安全性と有効性を検討する見通しだというニュースがありました。この…

運動で増える生理的因子イリシンにはアミロイドβの分解促進作用がある

運動が、認知症の予防に重要なことはよく知られているのですが、そのメカニズムはまだ十分解明されていません。最近、運動によって生体内で増える因子イリシンが、アミロイドβを減らす作用を持つということが報告されていたのですが、イリシンの作用機構は不…

認知機能テストMoCAの得点はMCI(軽度認知障害)と認知症でどう違う?

認知機能テストでもっともよく使われているのがMMSEというもので、短時間でできるので、便利です。しかし、天井効果というものがあり、軽度認知障害(MCI)の人は、かなり高得点をとるので、MCIの診断には不向きです。 そこで、MoCAというテストが考案されて…

アデュカヌマブの撤退について思うこと

2月1日に、バイオジェン社がアルツハイマー病の新薬アデュカヌマブの研究と販売を取りやめたということが日本でも報道されました。それで、第4相の臨床試験も途中で中止されることになり、今後アデュカヌマブが臨床で使われることはなくなったといえそうで…

認知症の告知の難しさについて

新患の患者さんが認知症と診断された時に、ご本人へどう説明するかということはいろいろ複雑な問題をはらんでいます。 この時にご本人にどういう説明をするのがよいのかについて、まだ専門家の間でも結論が出ていないように感じます。 あまりはっきりと告知…

習字は軽度認知障害に対して良い効果をもたらす

軽度認知障害(MCI)の高齢者に対して、習字が有効かもしれないということが言われているのですが、そのことを実際に調べる研究が台湾で行われて、論文として報告されています。 それによると、MCIと診断された30人を対象として、週2回 1回1時間 漢字の習字…

地中海式食事法による認知症リスク低下について

食事、栄養は認知症予防にとってはとても重要なことはいうまでもありません。 私は日ごろ患者さんに 野菜をいろいろな種類、多くとること をお勧めしています。 野菜をとれば、食物線維や各種のビタミン、カロテノイドなどをとることができます。 さらに、野…