アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

2023-01-01から1年間の記事一覧

レカネマブの皮下注射についての新情報

日本でも9月に承認された早期アルツハイマー病の新薬レカネマブに関しては、点滴による注射が月2回必要になるということで、患者さんは病院にたびたび来て、点滴を受けなければなりません。また医療機関もいろいろな準備をしないといけないということになり…

多様な知的活動をすると認知症予防効果が高い

読書などの知的活動は認知症予防に役立つということはよく知られています。座って行ういろいろな知的活動について、認知症予防効果を調べた研究があるので、紹介してみます。これは国立長寿医療センターで行われたものです。 5300人の認知症ではない高齢者に…

認知症・軽度認知障害で嗅覚異常が起こる理由とは

認知症では、嗅覚が鈍くなることがよく知られています。また、認知症の前段階の軽度認知障害(MCI)でも、認知症ほど強くないが嗅覚に問題が起こることがかなりあるということです。 その理由はまだ十分わかっていません。一つの説としては、海馬及びその周…

ドナネマブは第2のアルツハイマー病新薬となるか

アルツハイマー病の新薬として、レカネマブが日本でも承認されることになりました。それに続いて、期待されているのがドナネマブです。以前に、このブログで少し説明したことがありますが(N末修飾アミロイドβに対する抗体ドナネマブによるアルツハイマー病…

キノコを多くとると認知症になりにくい

キノコには特徴的な栄養素が含まれていて、私も興味をもって調べてみています。キノコを食べることががんの予防に有効ということを、先日姉妹ブログの方に、書きましたキノコを食べればがん予防になる - 認知症予防の散歩道 (hatenadiary.com)。では、認知症…

新型コロナウイルスと味蕾の関係

新型コロナウイルス感染の特徴的症状に味覚、嗅覚の異常があります。味覚異常は10~20%の頻度で起こるらしいのですが、そのメカニズムはまだ十分解明されていないようです。 私はこの点に興味を持って調べてみたのですが、結局まだ推測の域を出ていないという…

新型コロナ後遺症に認知症薬が有効かもしれない

最近、新型コロナ後遺症のマウスモデルを作製したという興味深い研究が報告されて、毎日新聞でも報道されていました。これは、慈恵医大のウイルス学講座で行われたもので、概要は慈恵医大のホームページに載っています。 この研究では、新型コロナウイルスの…

スーパーフードとして知られるビーツについて

ビーツは日本でも最近人気がでてきている野菜です。スーパーフードと呼ばれることもあるそうで、とても魅力的な食材で、私も注目しています。 ではビーツにはどんな栄養素が含まれているのでしょうか。 まず食物線維とミネラル(カリウムなど)が豊富です。…

きのこに含まれる活性物質エルゴチオネイン

きのこに含まれる活性物質として、最近注目されているのがエルゴチオネインです。この物質は、ペプチドの一種で分子量は229という小分子です。エルゴチオネインは強い抗酸化作用があり、いろいろな病気との関連性が示唆されているようです。 エルゴチオネイ…

コーヒーと記憶の関係

コーヒーを多く飲むことに認知症予防効果があるらしいということがいわれています。そのことについて、先日記事を書きました。コーヒーを飲む量が多い人は脳にβアミロイドが溜まりにくい - アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ (hatenablog.com)…

アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の生存率には違いがある

レビー小体型認知症(DLB)は、アルツハイマー型認知症(AD)に次いで頻度が多い神経変性認知症として知られている。幻視症状や症状が変動しやすいことなどが特徴で、治療も難しい面がある。この二つの認知症の生存率に違いはあるのだろうか? この問題につ…

査読偽装の問題についての感想

福井大学の女性教授(T教授)が、自分の論文の査読について、知り合いの査読者と結託して有利な査読コメントを作成し、それを査読者に提供して、論文の査読・審査を操作していたということが明るみに出て、新聞に報道されていた。昨年の6月ころにこの問題を…