アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

認知機能テストMoCAの得点はMCI(軽度認知障害)と認知症でどう違う?

認知機能テストでもっともよく使われているのがMMSEというもので、短時間でできるので、便利です。しかし、天井効果というものがあり、軽度認知障害(MCI)の人は、かなり高得点をとるので、MCIの診断には不向きです。

そこで、MoCAというテストが考案されて、比較的よく使われています。このテストでは天井効果がみられないので、MCIの診断にはとても有用なものです。正常は26点以上(30点満点)ということになっています。

私は診療で、このMoCAをよく患者さんにやってもらっていますが、認知症とMCIの区別とか経過の評価にもかなり役立つと感じています。

MMSEとMoCAの点数の関係について、詳しく調べている論文によると、MMSE24点がMoCA17点に対応するということです。そしてMCI患者300人の平均点は MMSE27.8、MoCA23.4でした。一方、認知症患者100人の平均点は MMSE20.3、MoCA15.3でした。

おおまかにいうと、MoCAの点数が18点以上25点以下であればMCIと考えてよく、16~17点以下では軽度な認知症と考える方がよいということになりそうです。しかし、MoCAの点数だけでは判断はできないもので、臨床症状や経過、年齢などから総合的に判断しなければいけないということはいうまでもありません。

 

下記の論文を参考にしました。

 Trzepaczら BMC Geriatrics 2015