アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

留学体験 その4

米国留学中の難題といえば、英語と食事である。英会話の方は、大学のESSと、その後大学院時代の個人レッスンなどでトレーニングをしていたので、それほど不安はなかった。だが、渡米直後は、自分の言うことが今一つ通じていないという感じがしていた。し…

留学体験 その3

留学中、MITの研究室では、学部の大学生(3年生)を受け入れて、本格的な研究の補助をしてもらっていた。私もしばらくしてウェルズリーカレッジから通ってきていた女子学生を指導することになった。彼女はフロリダ出身のブロンド髪の長身で、明るい子であっ…

留学体験 その2

私がボストンに留学したころは、アルツハイマー病の研究は世界的にみても、やっと家族性の病気の遺伝子がわかりはじめた時期で、研究者の間にはなんとなく熱気が感じられた。私の研究室のボスはあまり流行には乗らずに自分のやりたいことをやるというタイプ…

留学体験ーその1

私は、日本で3年間ポスドクとして研究をしてから、アメリカ東海岸のMITに留学した。この時36才で、やる気もあったので、独り身もあまり気にならなかった。4月の半ばくらいにボストンについて、前もってきめてあったアパートに入居したのだが、ベッドフレー…

認知症薬の治験中止のニュースを聞いて

何ヶ月か前に、アルツハイマー型認知症の治療薬として開発されて効果があるのではと思われていた注射薬アデュカヌマブの治験が中止になったというニュースが話題になった。日本を含め欧米豪アジアで大規模な治験が行われていたというが、結局効果がないとい…

憧れと現実のはざまでーインパクトファクターの弊害

研究には理想と現実のギャップがつきものだ。なんとか質の高い研究をしたいと思ってもできることには限界があることが多い。このようなギャップに悩みながら、研究を続けてきたというのが本音だ。たとえばインパクトファクター(IF)ということが研究の世界…

研究の一歩を踏み出した大学院時代

自分が研究をはじめたきっかけは大学院だった。当時は今のような研修制度というものはなかったから、大学院に卒後3年くらいで入る人が多かった。私も3年間の病院での臨床研修の後で母校の大学院に入った。その時K教授は退官してしまっていたので、一抹の寂…

K先生との出会い

私は大学医学部の最終学年の時に、そろそろ進路を決めねばならないと考えて、二つの進路から選ぼうと思った。一つは脳神経内科で、もう一つは内科である。当時内科には第1,2,3と呼吸器があったと思う。いろいろ考えた末神経内科を選んだ。自分は比較的狭い分…

ブログ開設にあたり

私はこれまで認知症の研究を長い年月行ってきました。最後の20年くらいは小さな研究室で少人数の研究員、大学院生、研究助手らといっしょに、研究を続けてきましたが、その研究も一段落し、その研究室には別れをつげることになりました。これからは少し自…