アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

ドナネマブは第2のアルツハイマー病新薬となるか

アルツハイマー病の新薬として、レカネマブが日本でも承認されることになりました。それに続いて、期待されているのがドナネマブです。以前に、このブログで少し説明したことがありますが(N末修飾アミロイドβに対する抗体ドナネマブによるアルツハイマー病の治験について - アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ (hatenablog.com))、ドナネマブはピログルタミル化された特殊なアミロイドβに対するイーライリリー社の抗体製剤で、その第二相試験でかなり有望な結果となり、最近第三相試験の結果、レカネマブと同じか、やや上回る結果が出て、アメリFDAで審査中となっています。この通常審査の結果は年末までには出る見込みで、おそらく本承認されることになりそうです。 

この治験では約1700人の患者の半数ずつドナネマブとプラセボで月一回、1年半治療が行われています。特筆すべきこととして、ドナネマブ投与群の8割で、一年半後アミロイド斑がみえなくなっていたとのことです。

この薬は進行抑制効果はかなり高く、35%くらいとのことで、病気の時期が非常に早期であればあるほど効果があるということです。投薬頻度は月一回でレカネマブより、少ない利点がありますが、脳の浮腫みの所見は、3分の1程度に現れるので、注意する必要があります。

アメリカで先行して承認されれば、その後に日本でも認可されることになるでしょうから、選択肢が増えて、良い事ではあります。でも、病院の側はやるべき事が今より格段に増えるので、対応に苦慮することになりそうです。

下記のサイトを参考にしました。

https://www.cnbc.com/2023/07/17/alzheimers-eli-lilly-expects-fda-decision-on-donanemab-by-year-end.html