コーヒーを多く飲むことに認知症予防効果があるらしいということがいわれています。そのことについて、先日記事を書きました。コーヒーを飲む量が多い人は脳にβアミロイドが溜まりにくい - アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ (hatenablog.com)
しかし、コーヒーのどの成分が大事なのかはよくわかっていません。一つの可能性として、カフェインの作用が考えられます。
2014年にアメリカの研究者が、カフェインに人の記憶を強化する効果があるということを報告しています。この研究では、被験者を2群(35名と38名)に分け、画像を覚える検査を行いました。画像を見せてから、5分後にカフェイン200mgかプラセボ(偽薬)を飲んでもらい、24時間後にテストをしたところ、カフェインを飲んだ被験者の方が、画像をよく覚えていました。すなわちカフェインには記憶を強化する効果があると結論されました。
この量はコーヒー2杯強くらいに相当するということです。
その効果はどのようなメカニズムによっておこるのかはまだよくわかっていません。
カフェインが脳の海馬中のアデノシンA1受容体に作用して、アデノシンの作用に拮抗することが知られているので、その作用を介している可能性があります。
また、カフェインが海馬の中でBDNFという神経栄養因子を増やし、それが記憶の強化につながる可能性も考えられています。もしかすると、コーヒーの認知症予防効果には、カフェインによってBDNFが増えることが関わっているのかもしれません。
*下記を参考にしました。
Borotaら Nature Neuroscience 2014; Favula & Kuhl Nature Neuroscience 2014;