アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

レカネマブの皮下注射についての新情報

日本でも9月に承認された早期アルツハイマー病の新薬レカネマブに関しては、点滴による注射が月2回必要になるということで、患者さんは病院にたびたび来て、点滴を受けなければなりません。また医療機関もいろいろな準備をしないといけないということになります。そのような問題を解決するために、レカネマブの皮下注射法が検討されているということです。皮下注射であれば、自宅でできるので、病院に来る手間を省くことができ、病院側の負担も減るというわけです。

このレカネマブの皮下注射に関するデータが国際会議で報告されたということが、アルツフォーラムというサイトに掲載されていました。それによると、非盲検の延長試験の中で、一部の患者は週1回レカネマブの皮下注射を受けて、半年後に中間的な評価が行われました。皮下投与を受けた人では、点滴を受けた人よりも、レカネマブの血中濃度が11%高く、アミロイドβの除去も14%多かったとのことです。アミロイド関連画像異常(ARIA)という副作用については、皮下注射の方が、点滴注射よりやや頻度が多くなっていました。また、皮下投与では、点滴投与よりもレカネマブの血中濃度の変動が少なく、安定していました。

エーザイ社はこの皮下注射製剤の認可申請を米国FDAに来年3月に行う方針ということで、今後は点滴注射から皮下注射へという流れになっていくことも想定されると思います。