アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

多様な知的活動をすると認知症予防効果が高い

読書などの知的活動は認知症予防に役立つということはよく知られています。座って行ういろいろな知的活動について、認知症予防効果を調べた研究があるので、紹介してみます。これは国立長寿医療センターで行われたものです。

 5300人の認知症ではない高齢者について横断的な研究が行われました。座って行う知的活動としては6種類のものを調べています。それらは、コンピューターを使う、クロスワードパズルを解く、読書する、日記や手紙を書く、家計簿をつける、ボードゲームをする、です。ここでボードゲームには、将棋、囲碁、チェス、オセロ、麻雀などが含まれます。その結果、これらのうち一つでも週に1回以上やっている人は、そうでない人に比べて認知機能障害が起こるリスクが有意に低下していました。そして、知的活動を複数行う人では、その種類の多さとリスク低下の程度が相関していました。

つまり、多様な知的活動を行うことで、認知症予防効果が高まるということがいえます。

この研究は、非常に大規模なものなので、信頼性も高そうです。私が日常診療で感じていることがデータで示されているという感じがしました。

 Kuritaら、Geriatr Gerontol Int 2019を参考にしました。