アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

新型コロナウイルスと味蕾の関係

新型コロナウイルス感染の特徴的症状に味覚、嗅覚の異常があります。味覚異常は10~20%の頻度で起こるらしいのですが、そのメカニズムはまだ十分解明されていないようです。

私はこの点に興味を持って調べてみたのですが、結局まだ推測の域を出ていないということがわかりました。

でも、重要なこととして、新型コロナウイルスは舌の味蕾に直接感染することがあげられます。その理由としてわかっていることは、味蕾にはACE2(アンギオテンシン変換酵素2)が発現していて、新型コロナウイルスがACE2に結合するということ、さらに、味蕾にはTMPRSS2(Transmembrane protease serine 2)というプロテアーゼが存在し、新型コロナウイルスの侵入を促進するということがあります。

では、味蕾にウイルスが感染した後にどうして味覚異常が起こるのでしょうか?そこのところはまだ未解明なのですが、2つの可能性があり、両方が関わっているかもしれません。一つは、新生する味蕾が少なくなって、味蕾が足りなくなるという可能性、もう一つは味蕾周辺に炎症反応がおきて、味覚神経による感知が悪くなる可能性です。

特に炎症説は後遺症で味覚異常が長引くことを説明できるような気がします。

新型コロナウイルスは味蕾とかなり密な関連があるということは明らかで、そのために味覚異常がかなりの頻度で起こってしまうのだといえそうです。

 

次のサイトを参考にしました。

〔プレスリリース〕新型コロナウイルスは、口腔から感染する | 学校法人神奈川歯科大学 | KDU