アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

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アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の生存率には違いがある

レビー小体型認知症(DLB)は、アルツハイマー認知症(AD)に次いで頻度が多い神経変性認知症として知られている。幻視症状や症状が変動しやすいことなどが特徴で、治療も難しい面がある。この二つの認知症の生存率に違いはあるのだろうか?

この問題について、イギリスの研究グループが疫学的なデータを報告しているので、簡単に紹介してみたい。

この報告では、251例のDLB患者と222例のAD患者の臨床データ8年間分を解析している。すなわち後ろ向き研究である。

両群間で、年齢、MMSEのスコアには差がなかった。また抗認知症薬の使用頻度には差がなかった。

興味深いことに、DLB患者の生存期間の中央値は3.72年だったのに対して、AD患者のそれは6.95年だったという。ここで生存期間というのは、はじめに診断がなされてからの期間とされている。そして、抗精神病薬が処方されたことや併存疾患の影響は統計学的に有意ではなかった。

DLBの生存率が悪い原因についてははっきりせず、疾患そのものに由来するらしいということが述べられている。

ADとDLBが共存するような病態もあるのだが、この研究ではその点については触れられていない。

日本ではあまりこのような研究はなされていないようだが、この研究から認知症の自然経過は、その種類によってかなり違うということがいえそうだ。

 

Price Aら BMJ Open 2017を参考にしました。