アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

留学体験 その2

私がボストンに留学したころは、アルツハイマー病の研究は世界的にみても、やっと家族性の病気の遺伝子がわかりはじめた時期で、研究者の間にはなんとなく熱気が感じられた。私の研究室のボスはあまり流行には乗らずに自分のやりたいことをやるというタイプであった。だが、とても頭の切れる人だったし、今でいうバイオベンチャー的な会社も持っていて、バイタリティーのある人であった。私がそこで学んだこととして大きなことは、研究を進めていくときの考え方だと思う。一つの結論を得るためには、複数の実験データに基づいて論理をきっちり構築、展開するということの重要性を肌で感じることができた。たとえるなら研究は建物の建築のようなものかもしれない。2年半の留学中には原著論文2つと総説一つを書いたがどれもアクセプトは帰国後になった。