アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

憧れと現実のはざまでーインパクトファクターの弊害

研究には理想と現実のギャップがつきものだ。なんとか質の高い研究をしたいと思ってもできることには限界があることが多い。このようなギャップに悩みながら、研究を続けてきたというのが本音だ。たとえばインパクトファクター(IF)ということが研究の世界ではやけに強調されていたりする。そのようなインパクトの高い雑誌に論文が載ることが研究者の評価を左右することになる。私もそういう目標を持った時期もあったが、重要なのは中身だと割り切る方がよいのかもしれない。たとえば、ノーベル賞受賞の対象論文がNatureやScienceなどではなく、堅実な雑誌に発表されていることも少なくない。本庶教授が、記者会見で、NatureやScienceの論文には嘘が多いということをおっしゃっていたのは記憶に新しい。IFに左右されない評価方式というのがあってもよいと感じるこの頃である。