アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

研究の一歩を踏み出した大学院時代

自分が研究をはじめたきっかけは大学院だった。当時は今のような研修制度というものはなかったから、大学院に卒後3年くらいで入る人が多かった。私も3年間の病院での臨床研修の後で母校の大学院に入った。その時K教授は退官してしまっていたので、一抹の寂しさがあった。そこでの指導教官はN准教授で、神経伝達物質の研究では定評があった。K教授もN准教授も認知症の研究に力を入れていたから、私もその路線で、認知症の基礎的な面を研究テーマとすることになった。今から振り返るとそこが研究の出発点だったなと思う。そのN先生と、検査部の准教授だったU先生に研究の手ほどきをうけたのだが、特にU先生からは生化学の基本をみっちり教えていただいた。4年間で2本の論文を書くというのが学位取得の条件だったから、かなりストイックな生活だった。それでも論文としてまとめることができ、研究の辛さと面白さとの両方を味わったのだった。そして、研究に専念するため、なぜか母校から飛び出してしまうことにした。