アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

認知症の診療と研究の接点

日々の臨床あるいは診療の仕事の上で、研究との接点というものを持つ機会はあるものだと思う。新しい病気などの臨床上の発見が、鋭い臨床医の観察力からはじまることが多いということはよく知られている。私は今はクリニックで診療しているから、あまり臨床研究的なことに直接関わってはいないのだが、ときどき非典型的な症状や珍しい症状を呈する患者さんに接することはあり、自信のない場合は、英文、和文の文献を調べてみたり、知り合いの先生に質問したりするようにしている。どうしても手に負えないときは大学病院に紹介するようにしているが。

認知症薬の処方の仕方についても、話はそれほど単純ではない。たとえば、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンを併用することが、前者単独よりどのくらいすぐれているのかということについて、英語論文にあたってみると参考になることが多くある。私は研究者の習性から、そのような治療や診断について疑問を感じる場合は、できるだけ英語の文献にあたってその疑問を解決するようにしている。

その理由として、私の経験では、和文の文献というのは、内容的に英文に劣ることが多いし、信頼性に欠けていたりすることもあるからである。いわゆるガイドラインというものにも、肝腎なことは書かれていなかったり不正確だったりするから、鵜呑みにはしない方がよいように感じる。