アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

アデュカヌマブについての感想

10月のおわりごろのニュースで、来年米国FDAにアデュカヌマブの認可申請がなされるとのことが伝えられ、エーザイとバイオジェンの株価が跳ね上がったそうだ。一度治験が中止になったのに、一体どういうことなのか、と疑問に思う人は多いし、私もその一人だ。この理由としては、中止以後に新たに利用可能となった被験者のデータを含めて改めて解析したら、二つの治験のうちの一つでは、高用量の投与を受けた群のみで、有意な認知機能低下の抑制が認められた。もう一つの治験でも、その結論を支持するデータが得られた。ということらしい。この辺について、他のブログで詳しい解説が書かれているので参照していただきたいと思います。teigakurekikousyunyu.com/aducanumab-biogen-eizai.html (別の解説記事もあります https://answers.ten-navi.com/pharmanews/17164/)

この解説では、一部の投与群でポジティブデータが得られたからといって認可申請されることに疑問が投げかけられている。アルツフォーラムというサイトでは海外の専門家が多数コメントを寄せているが、ほとんどが肯定的な意見で、批判的な意見はごく少数だった。

データの全体像が見えないので、なんとも言えないのだが、中止後の解析において、高用量でポジティブであったからそれでよいのかという点はやはり疑問として残る気がする。あるコメントによれば、フェーズ2をとばして、フェーズ3を行ったところにも問題があるということだった。このまま認可ということになるのかどうかは医学業界、研究業界で注目の的になっているのだと思う。