アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

認知症

カロテノイドは認知症リスクを下げる

βカロテンやルテインなどのカロテノイド摂取がアルツハイマー型認知症の患者さんでは少ないという報告がいくつかあります。私は、食事の中でも野菜が重要だということを強調したいと思います。特に、カロテノイドは抗酸化力が高いことから、アミロイドβオリ…

アミロイドβオリゴマー神経毒性低減療法の実用化に向け、新会社を設立

認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の段階で、その病態進行を防ぐために、早期の治療介入が重要ということはわかってきたのだが、まだその方法として決定的なものはないのが現状です。特に、アルツハイマー病の前段階は、アルツハイマー病を背景とする…

N末修飾アミロイドβに対する抗体ドナネマブによるアルツハイマー病の治験について

早期のアルツハイマー病に対する新たな抗体療法の治験結果が最近報告された。これは、イーライリリー社が開発しているドナネマブ(donanemab)という抗体の第2相試験についてで、その作用機序は独特なもので、これまでに報告されているものに比べて、アミロイ…

アデュカヌマブの認可に赤信号

アルツハイマー認知症の新薬候補であるアデュカヌマブについて新たな動向が報道された。11月6日にアデュカヌマブの認可申請に対して、FDAの諮問委員会が否定的な勧告を出したということだ。この諮問委員会は外部の専門家からなるものらしく、アデュカヌマブ…

ヒト脳内におけるシナプス密度の減少とタウ蓄積の関連性

以前(今年2月11日)のブログで、脳内のシナプスを可視化できるPETのトレーサーについて、簡単な記事を書いたことがある。最近、このトレーサーを使った興味深い研究が報告されていた。この研究はベルギーのVan Laere博士らによって行われたもので、Neurolo…

タウ抗体療法の新情報

アルツハイマー病の脳に異常なタウたんぱく質が溜まることはよく知られている。特に最近、そのような異常なタウが、神経細胞間を伝播して、広がることが分かってきた。そのため、タウに対する抗体療法が開発され、臨床治験が行われている。このような治験と…

アミロイドβの蓄積とタウの広がりの関係

アルツハイマー型認知症におけるアミロイドβの蓄積量と異常化したタウタンパク質の広がりには、有意な関連があるということが、次第にわかってきている。最近のアルツフォーラムの記事にも、そのことが取り上げられていた。それによると、アミロイドPETとタ…

考察ーリコード法 その3

ブレデセン博士のリコード法論文3報をよくみて、考えたことを書いてみている。 MCIの症例が改善するということは、十分想定できることだと思う。MCI例の例数、年齢、男女比についてまとめてみると、はじめの2報で10例、3報目で35例、計45例である。65才以…

考察ーリコード法 その2

前回、リコード法の全体像について、おおまかに考察してみた。この療法の批判の一つとして、例数が少ないということがあったようだが、2018年の論文では、相当数の症例が提示されている。ただ、臨床試験という形で、効果を検証していないのが問題だという批…

考察ーリコード法 その1

アメリカのブレデセン博士(B博士)が開発したリコード法で、アルツハイマー型認知症の人の症状が改善したということが、最近注目されている。16日のNHKの特集番組でも現地取材をもとに、そのような治療法とその改善例についてかなりくわしく放映して…

アルツハイマーの人の脳内シナプスを可視化

アルツフォーラムというサイトで、PETで人の脳内のシナプスを可視化できたという記事がのっている。このリガンドは、UCB-Jという名前のもので、前シナプス小胞のタンパク質SV2Aに結合性があるという。アルツハイマーによるMCIとアルツハイマー認知症の人では…

メマンチンとアミロイドβ     

アルツハイマー型認知症の患者さんに、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンといったアセチルコリンエステラーゼ阻害薬1種類を使っていて、認知機能に低下傾向がでてきたときの対策として、メマンチン(メマリー)を併用するのは常套手段といえる。この…

おすすめのサプリメントは?

MCIあるいは正常の人が予防的にのむサプリメントとして何がおすすめだろうか?これはとても難しい問題だと思う。論文などで、しっかりした裏付けがあるものがやはりよいだろうと思われる。私の知る範囲での話になってしまうのだが、「メモリン」はMCIの人に…

アデュカヌマブの新展開  

アデュカヌマブの動向は気になるところだが、ニューロセントラルというサイトによると、オープンラベルのフェーズ3B試験が米国で4月からはじまるということだ。この治験には、中止された治験に参加していた人だけが参加できて、高用量の投与を4週ごとに…

ドネペジルの効果の個人差  

認知症の診療をしていて、アルツハイマー型と思われる人に、ドネペジル(アリセプト)を処方することは多い。しかし効果が感じられる人と全く感じられない人がいるというのが、実際ではなかろうか。効果がないということと維持できているということの見極め…

アデュカヌマブについての感想

10月のおわりごろのニュースで、来年米国FDAにアデュカヌマブの認可申請がなされるとのことが伝えられ、エーザイとバイオジェンの株価が跳ね上がったそうだ。一度治験が中止になったのに、一体どういうことなのか、と疑問に思う人は多いし、私もその一人…

テレビで放映される認知症予防法の問題

最近、認知症予防に効果ありというようなものがテレビで放映されることがかなりある。しかし、その根拠というのは、マウスの実験だったり、細胞レベルの実験だったりということがほとんどである。マウスで効果があるということが、ヒトのアルツハイマーとか…

非現実的なアルツハイマー病の点滴薬

アルツハイマー病の抗体医薬としてアデュカヌマブなどが開発されて治験がなされた。まだBAN2401など治験が行われているものがあるということだ。これらのアミロイドβを標的としたもの以外にもタウの抗体医薬も開発されている。しかし、アルツハイマーのよう…

推薦できる認知症専門クリニック

東京圏内の認知症クリニックでおすすめできるところといえば、やはりこちらだろう。「医療法人社団創知会」 院長の朝田医師は、以前筑波大学の教授をされていた方で、認知症の臨床のスペシャリストといえる。このクリニックにはデイケア施設も併設されていて…

βセクレターゼ阻害薬の行方

アルツハイマー病の根本治療薬の候補として期待されていたβセクレターゼ阻害薬の治験が中止されたというニュースは衝撃的だった。なぜなら、今回中止になったエレンベセスタットというエーザイとバイオジェンが共同開発した薬は、治験の最終段階まで進んだ数…

運動と認知症予防

WHOの認知症予防ガイドラインが今年発表された。その中でだれもがもっともてっとり早くできるのは、エクササイズ(特に有酸素運動)だという気がする。運動にもいろいろあるが、やはりジョギングか早歩きがやりやすいだろう。私も時々ジョギングするようにし…

認知症の診療と研究の接点

日々の臨床あるいは診療の仕事の上で、研究との接点というものを持つ機会はあるものだと思う。新しい病気などの臨床上の発見が、鋭い臨床医の観察力からはじまることが多いということはよく知られている。私は今はクリニックで診療しているから、あまり臨床…

認知症薬の治験中止のニュースを聞いて

何ヶ月か前に、アルツハイマー型認知症の治療薬として開発されて効果があるのではと思われていた注射薬アデュカヌマブの治験が中止になったというニュースが話題になった。日本を含め欧米豪アジアで大規模な治験が行われていたというが、結局効果がないとい…