アルツハイマーよもやま話ー研究者・医師のブログ

認知症研究者・医師のブログです。

習字は軽度認知障害に対して良い効果をもたらす

軽度認知障害(MCI)の高齢者に対して、習字が有効かもしれないということが言われているのですが、そのことを実際に調べる研究が台湾で行われて、論文として報告されています。

それによると、MCIと診断された30人を対象として、週2回 1回1時間 漢字の習字の稽古を8週間実施しました。

その結果について、自己申告アンケートにより、調査をしたところ、感情の安定、認知力、上肢の協調運動、注意力、言語の5項目ですべて改善が認められました。また、MMSEの成績でも改善傾向が認められたということです。

この研究は、8週間という短期間のものなので、長期間ではどうなのかについては、データがありません。しかしながら、習字という比較的簡単で、なじみのある活動によって、MCIの人の認知機能がよくなり、感情が安定し、動作、注意、言語なども回復するという、メリットがあるようです。

軽度認知障害の方に対して、習字療法は有効なものとして、おすすめできると思います。

 

下記を参考にしました。

Hsiao ら、Int. J. Environ. Res. Public Health 2023