私は、数年前に研究の第一線からは退いたのですが、その後も英文の総説を書いたりはしてきました。
最近、研究関係で感じるのは、私の現役の頃に一流とされていた雑誌のインパクトファクター(IF)がどんどん低下していて、凋落が激しいことです。
たとえば、Journal of NeuroscienceやJournal of Biological Chemistry(JBC) といえば、その分野では伝統、権威のあるジャーナルとして一目おかれていました。しかし、今ではIFがそれぞれ4.0、3.9まで落ちてきています。FASEB Journal も、親しみを感じる一流誌でしたが、IFは4.2になりました。他の有名雑誌でもIFが下がっているものが多いです。
これらの有名雑誌のIFがなぜこれほど下がったのか、その主な理由として、2つがあると思います。
一つは、Nature、Sciecne、Cellといった超一流誌の姉妹誌が増えてきたことがあります。これらの雑誌に投稿された論文が、却下された場合、その姉妹誌への再投稿を薦められ、姉妹誌に出版されることが増えたため、上に述べたような雑誌への投稿が減少しているのだろうと思います。姉妹誌として、有名なものには、Nature Communications、Cell Reportsがあります。
二つ目には、新興雑誌の台頭があります。例えば、Frontiers シリーズとかMDPI社の雑誌があげられます。これらの新興雑誌は、Article Processing Charge (APC)という論文掲載料の支払いにより、論文がオープンアクセスとして出版されるため、誰でも論文をダウンロードして読めるというメリットがあります。また、査読の厳しさがあまりないのも特長で、論文を速く出版したい研究者には、適していそうです。ただし、現在では、APCは55-60万円程度かかるので、研究費が十分ないと難しいでしょう。
上の他に、オープンアクセス雑誌としてはBMC、PLoSが発行しているものもあります(BMCは現在Springer Natureに属しています)。これらの雑誌の査読は、標準的、良質なものです。そして、APCは雑誌にもよりますが、40-50万円程度です。(PloS Oneが一番安く35万円程度)
このような理由を含めて、雑誌数の全体的な増加もあり、一流雑誌と言われていた雑誌のIFが軒並み下がっていて、少し違和感を覚えているこの頃です。
最近の研究者は、Journal of NeuroscienceやJBC に論文が通っても、あまり喜べないのかもしれません。